アンデスオオカミ

アンデスオオカミ

  • アンデスオオカミ1927年、アルゼンチンのブエノスアイレスで毛皮商人がもっていた1枚の毛皮が動物商のローレンツ・ハーゲンベックの手に渡った。このような場合頭骨はないのか、いつどこで採集されたものかオスのものかメスのものか、などが重要であるが「この毛皮はアンデス山脈で捕まえたオオカミのものですよ、そいつは私が保証します。」と言われたもの採集データは不明であった。
    それにしてもハーゲンベックは納得いかなかった、アンデスに全長2mに達するオオカミ、しかも首に鬣のような長毛をもつイヌ科動物がいるという話は聞いたことがなかったからだ、しかし彼は寒冷な霧に包まれた高知に適応した毛皮を持つオオカミがアンデスにいるかもしれないと感じた、それに毛皮商は他にもアンデスのオオカミの毛皮を持っていたから、特に突然変異的な標本ではなかったのだ、それにしても毛皮だけでは新種に記載しようにもしようがなかった。いつしかアンデスのオオカミは忘れ去られようとしていた。
    それから10年が経過した、1937年ドイツの動物学者インゴー・クルムビーゲルは、南アメリカ産のコレクションを調べていたとき、非常に歯が弱弱しいイヌに似た肉食獣の頭骨を見つけた、ラベルにははっきりと「アンデス産」と記されていた、彼はハーゲンベックの「アンデスのオオカミ」の毛皮のことは知らずにいたから妙だと思ったがとりあえずタテガミオオカミの変種くらいに考えてラベルをつけておいた。
    だが1941年になって、彼はハーゲンベックのコレクションの採集品の中に四肢の長い暗色の毛皮を見つけた、クルムビーゲルはピンとくるものがあった、そう、あの頭骨との関連だ、彼は頭骨と毛皮を詳細に再調査し、ハーゲンベックの話を聞き、これらは両方ともアンデスの高地に生息する未知の野生イヌであることを確信した。
    1949年、クルムビーゲルは新種として記載した、アンデスオオカミと命名され、学名はoreocyon hagenbecki、つまり採集者のハーゲンベックに敬意を表して種名にハーゲンベックの名をつけて発表された、1954年にはディーテーレンが毛質を調査し、シェパードに近いイヌだと発表した、けれども当時すでにシェパードがアンデスの高地で野生化していたとは考えにくい、南アメリカの哺乳類の分類学の大家カブレラも南アメリカのリストの中で本種に触れてはいるが、独立種なのか、あるいは何かの亜種なのかなど、断定はしていない、不思議なことに未だに生きている姿は確認されていないのである。


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